現在、我が国では、人口減少などにより住宅着工戸数が減少する中、林業・木材産業では、成熟化する森林資源に対して、木材需要を喚起していくことが重要な課題となっています。一方、建設産業では、担い手の高齢化や技能・技術者の減少などにより、技術継承などが課題となっています。
そうした中で、欧州で開発されたCLT工法は、欧米などを中心に、中高層や大規模建築物などに採用され、木造建築の新たな可能性を拡げています。また、CLT工法は、施工がシンプルで工期が短縮されることや断熱性に優れ、高い省エネルギー効果があるなどの多くのメリットに加え、大量に木材を使用しCO2を固定することにより地球温暖化の防止効果が期待できます。
CLTの普及は、木材需要が大きく喚起され、成熟化する森林資源を大量に活用できる可能性があるなど、我が国の林業・木材産業及び建設産業の振興に大きな効果が期待できます。
現在、我が国では、国の研究機関や日本CLT協会などが中心となり、CLTパネルのJAS規格化の取り組みが進んでいます。今後、本格的に普及していくには、CLT工法による建築に向けた関連法令等の整備、日本の風土や気候に合った設計・施工技術の確立、CLT建築に関する技術者の養成、また、建築を検討される皆様への関心を高めることなどが必要となります。こうした課題に対応していくには、CLT工法による建築事例を重ねながら、総合的な視野で取り組んでいくことが必要です。
成熟化する我が国の森林資源を活かすため、CLT建築の推進を通じて木材需要の拡大を図ることにより、中山間の所得の向上や雇用の創出が期待できます。現在、高知県では全国に先駆けてCLT工法による建築への取り組みが始まり、拡がっていますし、CLTに先導的に取り組んできた皆様との人的なネットワークがあります。こうした環境を活かして、森林率日本一の本県が全国のリード役となって、国や関係機関などとの緊密な連携のもと、関係する各分野・各層からの幅広い参加を得て、CLT建築推進協議会を設立しようとするものであります。
平成25年7月12日