CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、欧州で開発された工法となります。CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことを呼びます。平成25年12月20日に日本農林規格(JAS)として、直交集成板の名称により制定され、平成26年1月19日に施行されました。
一般的によく知られている集成材は、張り合わせる板の繊維方向が並行方向に張り合わせるのに対して、CLTは、繊維方向が直交するように交互に張り合わせていきます。
CLTの特性は、直交積層のため高い寸法安定性が得られます。90〜210mm程度の厚みが一般的で、断熱性に優れ、大判のパネルとして利用することで、高い耐震性を確保することが出来ます(欧州では、幅:3m×長さ:16m程度のサイズで製造されています)。また、板の幅や厚み、強度が集成材に対し幅広く活用できるというメリットもあります。
我が国においては、国産のスギでも、十分な強度を有するCLTパネルを製作できます。さらに、スギは比重が軽く断熱性能が高いことから、CLTに適しているとも考えられ、森林資源が豊富な国産スギの需要拡大の一つとして期待されています。
工場でCLTパネルの製造・加工が行なわれるため、現場での施工が少なくなります。
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欧州では9階建て集合住宅で、CLT工法では4名の技術者が9週間で施工しました。これはRC造の場合と比べると20週間分の工期を短縮できたことになります。
木材は多孔質材料のため、断熱性能が優れています。
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断熱性能は「10cm厚CLTパネル」と「1.2m厚コンクリート」と「5cm厚グラスウール」が同性能です。
CLTパネルは熱伝導性がとても低く熱を遮断します。
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建物を燃やしたところ。約1時間後に間仕切り壁を設けた防火戸が燃えるまでに、火災中の室温は最高1,000度を超えましたが、隣りの部屋は18度と温度変化はありませんでした。
建築物の床面積当りの木材使用量が多いこと。また、製材用には不向きである曲がり材などの合板用として活用されるB材などから製材された板が活用でき、森林資源の価値を高めることができます。
CLTパネル工法は、これらの優位性から建築物木造化の限界を押し広げ、大型施設や中層ビルなど新たな用途での木材需要を飛躍的に拡大できる可能性を秘めています。